大人
家族が出かけている中、
僕は寝室で寝そべっていた。
すると、近くの公園から、
子供たちの声が聞こえた。
「はっじさらし!はっじさらし!」
僕は心の中で楽しそうにしてるなあと思いつつ、
「自分がならないとは限らないんだよ」
と公園の方に背をむけ、
「おすすめ 副業」とスマホで調べる。
小学生の頃の僕は、言われる立場にいることが多かった。
その度に一緒になって笑っていた。
(笑うと「お前が笑うな」と相手をイラつかせることもあったが)
それ以降、耳が悪いように演じて、
自分からは関わらない、気づかない。
(実際に物事に鈍感になり、耳も目も悪くなったが、、、)
消極的で、行動力が起きない、家で寝てばかりの子供だった。
そうぼんやりと昔を振り返っていると、泣き声が聞こえてきた。
そのとき、公園のあたりも、僕の中も一瞬で真っ白になった。
僕は社会に溶け込めていない。そう自覚した。
気づかないうちから、
人は変わらないことを前提に考えるようになっていた。
自分が合わせればいいと思いながら、
自分の価値観が固定されていくのを、俯瞰するように感じる。
職場でそう思われていたのだろう、信用ならない人間だと。
あの素直な子供たちはどんな大人になるのだろう。
ありのままの自分で、
社会に溶け込み、
ときに戦い、
引き際がわかる。
そんな生きていくスキルを、身につけていくのだろうか。